2017年1月16日月曜日

射貫け

   惑星観測装置担当の山本です。

 みなさま、あけましておめでとうございます。
 物理的にはあり得ないと思われているが、インターネット上では稀によく見られる現象として、時空の乱れがあります。今回の原稿の締切は2017年1月11日だったのですが、「今を去ること2017年1月15日の出来事」について書かせて頂きます。

 2017年1月14日未明からしばらくの間、大寒波が日本各地に大雪をもたらし、京都でもかなりの雪が積もりました。この原稿も窓の外で吹き荒ぶ雪を見ながら書いています。年に一二度ちらつくか、と言う様な地域で生まれ育ったので、毎年数度は雪が積もる京都の気候はいまだ新鮮な気持ちになります。

 さて、この時期に新鮮な想いが溢れるコト、と言えば成人式を初めとした新成人の方々が迎える各種の行事があります。いろいろな行事が各地で行われていると思いますが、私が京都に来る以前から気になっていた、京都ならではの行事に、三十三間堂で行われる通し矢があります。正式には大的大会(おおまとたいかい)といい、いわゆる通し矢とは別物のようですが、晴れ着の新成人達が弓を射る姿は、雪景色の様な眩しさがありますね。一昔、どころか二昔近い昔ばなしなってしまいましたが、私も高校時代に弓道をやっており、大学時代も続けていればここで射っていたかも知れません。


三十三間堂の通し矢大会。的の大きさは100cm。決勝、上級者などは的のサイズが小さくなるそう。

 本来の通し矢とは違う、と申しましたが、鎌倉時代頃からはじまり、江戸時代頃に最盛を迎えた通し矢は、上の写真の背景にあるお堂、三十三間堂の軒下を端から端まで、約100メートルを一昼夜かけて何本的に当てられるか、と言う競技だったそうです。13000本中8133本を通したと言うのが最高記録だそうですが、単純に一昼夜を24時間として、1分間に9本、しかも屋根のある軒下ですから、非常に強く弓を引かねばならず、まさに超人的な競技です。現在の大的大会は60メートルの屋根無し、とはいえど甲矢乙矢の2本勝負ですから、かなり心技体が整わなければ的中させることは難しいと思われます。

 60メートル先の1メートルの的、というのは角度にするとちょうど1度くらいです。月の大きさがおおよそ0.5度。1度の範囲に矢を射る、ということも難しいですが、我々が現在開発している惑星撮像装置は、星の周囲の0.2秒角から1秒角の範囲に惑星が存在するかどうかを撮像観測によって明らかにしようとする装置です。秒角というのは1度の60分の1の60分の1です。
 
 そんな非常に小さな目標ですが、正確に射貫いて惑星が検出出来るよう、本年も心技体を整えて臨んでいきたいと思います。
  
それでは!

2017年1月4日水曜日

お役立ち情報 その2

光学など担当の岩室です。

 現在、3.8m 望遠鏡で使用する分光器の開発を進めています。
などに進捗状況など挙げており、今後も追加していきますのでマニアックな方はご覧下さい。

 で、今回はほぼ2年ぶりのお役立ち情報です。今回は何でもないケーブルの巻き方です。皆さん、長いケーブルをグルグル巻いて束ねたい事はちょくちょくありますよね。その際、いつも困るのが
 1. ケーブルがねじれる
 2. 解く際に先端が輪の中を通ると結び目ができてしまう
です。特に、巻き始めた側から解き始めるとちゃんと解けない事が多かったりするのですが、この原因は、どちらから巻き始めたのかよく分からない、という事も原因の1つとなっています。

 そこで、これらの問題をどちらも解決する巻き方の紹介です。
まずは、以下の写真1のようにケーブル両端部を持ち、普通にグルグルと巻いていきます。最後には2つ折りになったケーブルの端が来ますが(写真2)、それを輪の中に1〜2回通してコネクタに掛けます(写真3)。この巻き方の良い所は、2つ折りにすることでグルグル巻いても折り返し点でケーブルのねじれが相殺し、ねじれが溜まりにくい(非常に長いケーブルや、固いケーブルはねじれますが)事と、どちらから巻き始めたかが一目瞭然でわかることです。
これにより、2つ折りになっている側から解けば絡まる事無くすぐに全体を伸ばすことができます。AC アダプタのような大きなものが付いている場合には、小さいコネクタの方だけに2つ折り部分を掛けます(写真4)。柔らかくて長いケーブルほど、この巻き方が有効になりますので、そういうケーブルを見かけたら試してみて下さい。但し、この巻き方の欠点は2つ折り部分がかなりの角度で折れますので、この部分だけケーブルの劣化が早まる事です。曲げに弱いケーブルはこの巻き方は避けて下さい。