2017年9月8日金曜日

「マタイ受難曲」

光学など担当の岩室です。

今回は音楽の話題です。
私の所属している京都混声合唱団では現在、バッハのマタイ受難曲の練習をしています。この曲はクラシック宗教音楽の最高峰とされる曲の1つで、演奏速度にもよりますが全曲を省略なく演奏すると3時間半もかかる非常に大きな曲なのと、ソリストが多かったり古楽器や少年合唱が必要になるなど、演奏会としても通常より費用のかかるものとなるため、永く合唱を続けていてもなかなか演奏できる機会のない曲です。私は30年前のまだ学生だった時代に京都混声で一度歌っていますが、その際は何が何だかわからぬままに終わってしまったので、今回は曲を良く理解して歌いたいと考えています。

マタイ受難曲は、新約聖書の「マタイによる福音書」にあるキリストの受難を宗教音楽にしたものですが、神の子であるキリストの崇高さに対し私利私欲にまみれた民衆や、自己保身を悔いる弟子の心情など、非常に奥深い人間の深層心理が緻密に設計された音楽で表現されています。
例えば、曲の要所要所で「コラール」と呼ばれる讃美歌をベースとする曲が入るのですが、その内の幾つかのグループはそれぞれ共通の旋律が引用されています。実はそれぞれの場面で訴えたい内容が歌詞だけでなく、共通するテーマに対しては同じ旋律が引用されており、それぞれの旋律には共通の概念が与えられています。何となく感じてはいたのですが、知れば知るほどこの曲の奥深さには感心してしまいます。
「マタイ受難曲 解説」でネット検索すると多くの文書が出てきますので、来年の本番までにはまだまだ勉強のしがいがありそうです。

演奏 CD としては30年前に大枚はたいて購入した1980年のリヒター版(LP 4枚として出ていたものをこの頃登場した CD 3枚に焼き直したもので、ペーター・シュライヤーやフィッシャー・ディスカウなど当時のビッグネームによる名盤です)を持っていて、何十年ぶりに取り出したところ、高級品ゆえに入っていたスポンジがCD本体と反応して悲惨な状況になっていて大変ショックでした...



あまりにがっかりだったので、箱とケースと解説書は置いておいたものがこの写真です。箱入りの CD なんていうのは後にも先にもこのマタイだけです。何とか中身だけでも取り戻したいと思っていたところ、今のご時世ちゃんと YouTube 1980年のリヒター版が出ているのですね。YouTube で "Matthaus Passion Richter" で検索すると 58年版(一部不良あり)71年版(ビデオ)80年版が全て聞けます。私としてはやはり昔聞いていた80年版がリヒターの集大成のように感じて一番しっくりきますので、とりあえずこれで復元しちゃいました。

京都混声の演奏会では演奏に合わせて50インチモニタとパワーポイントで歌詞対訳や挿絵の表示を行っています。準備したデータを見返したりしながらマタイに対する理解を深めようとしているのですが、まだどうしても理解できないのが60番のアルトのアリアです。キリストが十字架にかけられて大変重苦しく悲惨な状況にあるのに、なぜか歌詞や音楽としては涼やかで軽やかなものとなっています。キリストが超越した存在だからこそこのような表現になるのでしょうが、キリスト教の信仰が深くないと根底からは理解できないのかもしれません(ちなみに私は無宗教です)


世の中にはオタクと呼ばれる人々がたくさんいますが、研究者はその分野でのオタクですし、上記マタイ受難曲の研究をしている人たちもオタクです。まあ、こういうオタクの存在する分野はそれだけ奥が深いということですね。




2017年8月25日金曜日

果報は寝て待て

  今日は五山の送り火である。大文字山の大の字の一部に白いテントが張られ、遠目にもいつもと雰囲気が違う。銀閣寺門前では護摩木に願を書く人が群れ、午前中には大勢の人が山に上って行く。が、今回は、天文学の話をする。

 20163月のブログで、「ALMAでは採択された観測課題を申請者本人が観測することはない。観測所が責任をもって観測を実施してくれるのである。」そして「ALMAでは、観測終了後のデータ処理までしてくれるのである。」と書いた。確かにそうなのだが、ALMAに採択された観測申し込みには3段階ある。グレードAが最高位で、これで採択されると、最優先課題として観測が実行される。気象条件などでその年(サイクル)に観測が実施できなくても翌年(次のサイクル)に持ち越してもらえる。グレードBはこれに次ぐ優先課題であるが、翌年への持ち越しはない。この下にグレードCがあって、グレードABの課題が気象条件などで観測できないとか、そもそも観測天体がないといった空き時間を利用して観測を行うというものである。従って、観測が実施される保証もない。Filler(埋草)とも呼ばれ、運がよければ観測が実施される。

 さて、この20177月半ばに、ALMAから「Dear Kouji Ohta, This is a notification for project 2015.1.01129.S, PI: Kouji Ohta.」というメールが来た。一瞬何のメールなのか飲み込めなかったのであるが、20154月にALMAに申請していた観測課題のデータが用意できたというお知らせらしい。この観測課題は20158月にグレードCで採択されたもので、20162月頃には「観測できるかもしれないので、観測諸元を指定したファイルを準備せよ」という指令が来た。これは、どっかに隙間時間ができたら観測するからその観測の諸元(例えば1回の積分時間、分光器の詳細設定等々)を最終的に決めて、ファイルとして作成し、ALMAに送れという指令である。観測される可能性があるので、喜んで準備して送り、ALMA側でも設定をチェックしてもらい、少しやり取りがあったのを思い出した。ところが、その後何の音沙汰もなくなったので、結局隙間時間はできなかったのだろうと思って、諦めていた。1年たった20172月頃まで何事もなく、さすがにサイクルをまたがることはないので、すっかり(?)忘れてしまっていた。そしてそれから約半年後に急にデータの準備ができたという知らせが来たので、「?」となったという次第である。後になって考えると、最近ALMAでは取得できたデータの処理が追いつかずデータ配信が滞る状況があると聞くのでそのせいかもしれないと思い至ったが、今回の理由は知らない。

 数日後にデータのありかを示すURLが送られてきて、これを取得した。大きなデータであり、1日近い転送時間がかかったが、なんとかダウロードして、その後CASAというソフトを使って簡易的にデータの様子を眺めたところ、所定の周波数に信号が見えていた(図)。しかも、予想とは少し違う強度分布を示していたので、なんか面白い結果になっているのかもしれない。解析はまだ準備中であるが、楽しみである。「観測しない観測」だと、観測データは忘れた頃にやってくることがある。まるで棚ボタ気分である(七夕ではない)。果報は寝て待てということか。


太田 2017816


簡易画像。見ても何かわからないかもしれないけど、赤っぽい部分が信号に対応する。


 

2017年8月3日木曜日

伊根町での出前授業

 日本天文学会では、研究者と市民をつなぐ取り組みの一つとして、毎年七夕の季節に、全国の研究者が小中高校などに出向いて七夕や宇宙の授業をする取り組みを行っています。京都大学の宇宙グループも京都府教育庁と連携して、京都府内の学校数十校から要請をうけてスタッフや院生を派遣してきました。
 今年、私は7月7日(金)に丹後半島の北東部に位置する伊根町の伊根小学校を訪問しました。



 
 京都駅を7時過ぎに出て、天橋立駅に着いたのが9時半。わざわざ校長の齊藤先生にお迎えいただき、伊根小学校までの風光明媚な道のりのドライブを楽しみました。伊根町といえば「舟屋」が有名ですが、校長先生に展望台にまで連れていっていただき、町の全貌を見ることもできました。
 伊根小学校は、明治6年開校といいますから、140年以上の歴史を誇る小学校です。全校生徒数は100に満たないこぢんまりとした学校ですが、こどもたちはみな元気で、大きな活力を感じました。そして私もリフレッシュしました。
 まず3・4年生を相手に、夏の星座や宇宙生物探しの話を45分、休みを経て5・6年生向けに太陽や宇宙にあるものについての話をやはり45分しました。教科書的な知識でなく、こどもたちがわくわくしそうな話をこころがけたつもりですが、うまくいったかどうか。やはり宇宙人の話はどこでも受けます。
 もうひとつ伊根小学校の特徴は「美味しい給食」です。「日本一の給食でたくましい伊根っ子」をスローガンとしていると説明を受けました。地元の食材を生かしたその給食を、私も生徒たちと一緒にいただくことができました。食事のあと、授業の感想や質問など聞きました。知らないことがたくさんあった、宇宙に行ってみたくなった、など楽しい対話のひとときを持ちました。

 この場を借りまして、お世話になりました伊根小学校の先生方、京都府教育丁のみなさまがたに、厚く御礼申し上げます。

(嶺重 慎)

2017年7月7日金曜日

A long time ago in a galaxy

 リーダの長田です。

「この文句で始まればもちろんスターウォーズ」と思う人も、「そんな映画、知らん。前回の野上さんのブログで初めて知った」という人もおられるかもとは思いますが、そのスターウォーズの第1作が封切られたのが1977年、もう、ちょうど40年前のことになるのですね。そして3部作が完結したころには私はハワイ大学のポスドクに行き、天文学研究所(IfA)1988年までアラン・トクナガさんのもとで働いていました。研究所は196771日に開所したとのことで、その50周年記念の研究会に行って来ました。

ハワイ島のマウナケアという場所が天文学の観測に適した場所であると見抜いた人々の話や、その後の発展、そして将来への展望に関してとても有意義な研究会でした。おそらく赤外線観測では、たとえチリの晴天率の良い観測所を比較に入れたとしても、世界最高の条件なのだと考えられています。その赤外線観測をハワイでもリードしたのがエリック・ベクリンです。彼はオリオン星形成領域のベクリン・ノイゲバウアー天体に名前を残すだけでなく、天の川銀河の中心を発見したり、L型スペクトルの褐色矮星を見つけたりと、赤外線天文学の歴史を作ってきた人です。

彼は「ナガタのいないハワイ大学なんて」と1990年にカリフォルニアに戻ってしまいました(もちろんウソです。今回も、最初名前を正しく言ってもらえませんでした)が、口径10mのケック望遠鏡に関わり、スピッツァー宇宙望遠鏡に関わり、今もボーイング747SP(あの旅客機のスペシャル・パフォーマンス版!)に2.5m望遠鏡を載せた「ソフィア」プロジェクトで活躍しています。

それにしても長い年月が流れました。ベクリンの顔を20年以上も見ていなかったので、私も彼に声を掛けられて「エリック?」と聞いてしまった(なんで声を掛けられるんや?、いくら会ってなくて自信がなくてもこっちから声を掛けんかい、という自己ツッコミ)ぐらいですから。で、彼の話ではなくて彼の甥の話。
研究会にも参加していて、そして最後の日の夕食にも来てくれました。Zachary Urbinaという若くてカッコいい彼は、サイエンス等のライターもしているとのことで、SEICAに興味を示してウェブで調べ、ハワイのコミュニティの一部が30m望遠鏡に反対していると聞くと、いかにしてSNSを使えば効果的に意識の共有ができるかを提案し、さっそくトクナガさんはハワイ島の関係者と話すと言っていました。昔々の懐かしい記憶と、未来への確実な一歩を感じることのできた3日間でした。

彼の文は以下で読めます:
https://www.ua-magazine.com/living-with-the-sun/.WVdOAmjyj4Y#.WVdO7mjyj4Y

なお、行くときの飛行機の中では何とか英語を聞き取ろうと、「ローグ・ワン」を英語で見てました。
スターウォーズの第2作が封切られたときに「エピソード5帝国の逆襲」だというタイトルに何のこっちゃと言い、第1作が「エピソード4」だったと聞かされた(野上さんのブログ参照)のでしたが、ローグ・ワンというのはエピソード3.5なのだそうですね。あるいはセイファート銀河的に言うと、エピソード3.9なのですね。これまた何のこっちゃ、ですが、エピソード5と同様に最高傑作なのかも知れません。



   ケック望遠鏡とすばる望遠鏡とジェミニ望遠鏡から
   レーザーを発射して天の川銀河の中心部を赤外線観
   測しているところ、の写真を背中に載せたTシャツ
   をハワイ大学IfAでは作っていました。






2017年6月23日金曜日

映画に見る宇宙

 まいどー。広報・サイエンス担当の野上です。
昨年度から縁あってとある他大学で非常勤講師をさせてもらっています。かなり有名な私立大学で理系学部もあるところなのですが、私が担当させてもらったのは文系学生向けの「天文学概論」的な講義です。それで昨年度は太陽から宇宙論的な話まで、まじめ~に概論を語りました。私としては大変勉強になりましたし、学生に毎回の講義で書いてもらうコメントを読み、いくつかのコメントに対しては次の講義で少し詳しい解説を行うという形で学生とのコミュニケーションも取れて、非常に楽しい講義でした。
 さて今年度、少しひねった、というか趣味に走った講義にしてみました。講義のサブタイトルに「~映画に見る宇宙~」という文言を入れ、宇宙に関係する映画を3~4回に分けて講義中に鑑賞し、残りの時間を関連する宇宙のことについて講義するというスタイルです。で、映画を見終わる回で関連するレポートを提出してもらいます。
1本目として取り上げたのが、2015年に制作されたオデッセイ。日本でもかなりヒットしたので、観られた方も多いのではないかと思います。火星探査ミッションで火星に取り残されてしまった一人のクルーが、なんとか火星で生き延びるが、さてその救出やいかに?という感じのストーリーです。解説としては、火星やその他の惑星の基本的な情報から入って、様々な火星探査ミッション、現在可能性が模索されている現実的な火星移住計画などの話をしました。
 その上で課したレポートは、
---------------------------------------------------
さてあなたは、
1.人類は火星移住を目指すべきと思うか?
2.火星移住を目指す一人目のパイロットに志願するか?
3.火星移住が可能になったとしてあなた自身は移住するか?
のいずれかについて考察し、レポートとして提出せよ。
---------------------------------------------------
というものでした。これを読んでくださっている皆さんなら、どういうレポートを作成しますか?
 2本目で取り上げたのは「スターウォーズエピソード4 新たなる希望」です。言わずと知れた、スターウォーズシリーズの1977年製作の第1作。この映画では、R2-D2C-3POなどの魅力的なロボット・人工知能が登場します。それで、宇宙からは若干離れますが、人工知能のあらましから囲碁・将棋などの機能特化型AISiriなどの対話型AIなどの話をして、松田卓也さんなどが提唱している2045年問題などの解説をしました。
 その上で課したレポートは、
---------------------------------------------------
さてあなたはどう考える?
1.人工知能の今後の発展についての是非
2.人工知能の発展により社会はどう変わるか?
3.人間と人工知能との恋愛は成立するか?
のいずれかについて考察して、レポートとして提出せよ。
---------------------------------------------------
でした。例えば、人間が仕事を奪われることになるのではないか、というのはよく言われていることではありますが、それはある意味で、労働からの人間の解放とも言えることではあります。AIで人間は楽園を迎えるのか?AIに人間が支配されることになるのか?皆さんならどう考えるでしょう?
 3本目は、地球物理のある先生から貸して頂いたTHE COREという映画です。なぜか地球のコアの回転が止まり、地磁気が消失することで地球上に様々な影響が生じる。さあ、コアを再び動かす手立てはあるのか?というような映画です。あまり知られていないのではないかと思いますが、地球の内部をSFXで見せるという、なかなか面白い映画でした。解説としては、『太陽からの様々な影響から地球を守ってくれているのが地磁気で、確かにこれがなくなればエラいことになる。しかし地磁気がなくなるなんてことがなくても太陽でこれまでに観測されたことのないような「スーパーフレア」が起これば我々の生活は破壊されてしまうかもしれない。そして宇宙に数多ある太陽型星では、そういうスーパーフレアがたくさん起こっていることが我々の研究で明らかになった。』というような話をしました。
 その上で課したレポートは、
---------------------------------------------------
1.太陽でのスーパーフレアに備える準備としては国の施策として何ができると考えるか?
2.太陽でのスーパーフレアが1万年に1度の頻度であるとして、その対策に日本で年に5兆円規模で5年かかるとする。この対策を「今」行う必要があると考えるか?
3.この映画THE COREの感想を書け。
---------------------------------------------------
です。これは今レポートを書いてもらっている段階です。3は、1と2だけだと難しすぎてレポートの提出数が減ってしまうかなあと考えての救済措置みたいなものですが、1や2のテーマで自分で色々と調べてきちんと考えてレポートを書いてくれる学生が果たしているでしょうか?
 ということで、現在行っている非常勤講師としての講義の紹介をしてみました。実はまだ、最後の1本を何にするか決めていません。皆さんから、「この映画でこういうテーマでレポートを出してもらうといいよ!」というご提案をお待ちします。
画像はC-3POのWikipediaのページに載っていたものの転載です。

2017年6月14日水曜日

逆行

 プロマネの栗田です。

 天体を観測していると「角度」の概念の難しさにつくづく気づかされます。多くの方が星や惑星などの天体は地球から離れたある位置、例えば「ここ」とか「そこ」にあると、考えます。もちろんそれは正しいのですが、天体は大変遠いために、位置というよりは地球から見える方向つまり角度のみが観察されます(子どものころは車窓から眺める月とビュンビュン流れる景色をみて「月がずっと追いかけてくる」と考えるものです)。
 僕自身もこの手の問題で混乱しました。正確に言うと混乱させられたと言うべきか。。その一つに惑星の「逆行」があります。これは地球より外側の軌道を回る惑星(火星や木星であり、それらを外惑星といいます)に起こる現象で、天球上を一方向に移動していたはずの惑星が突如方向転換する(ように見える)現象です。詳しくは高校の教科書やWikipediaなどで調べてください、といいたいところなのですが、こどものころから教科書に書かれている説明と図に混乱され続けてきました。
 たとえば、Wikipediaには以下のような図1と図2で説明されます。


図1 教科書にも用いられる逆行の説明図(Wikipediaより)


図2 図1の状況から導かれる天球上での外惑星の見かけの運動。(Wikipediaより) 
図1のような惑星の運動であれば、実際はこのように見えず、次の図3に示すように
A1とA4が、またA2とA5が入れ替わった状況になるはず。


 この説明方法は教科書を含め広く使われています。この図で問題なのは本当は無限の彼方にあるはずの天球が青い太線で地球に対して結構近くに描かれていることです。この天球すなわちスクリーン上での惑星の位置(A1~A5)までを見れば確かに図2の赤線のような逆行を行います。
 しかし、冒頭でもいいましたが、天体も天球も大変遠くにあって、このスクリーンの位置とは異なります。この説明図にずっと違和感を感じてました。このスクリーンの位置はどうやって決めるのだろうかと悩んでしまいます。
 たとえばこのスクリーンがうんと近くて、外惑星のすぐ外側にあったとします。するとAの点群は順番通り並び逆行なんて起きません。また図3のようにうんと遠くにスクリーンがあればA1とA4の順番が入れ替わることもわかります。いったい何が真実なのだろうか。。

      図3 天球(スクリーンを)十分遠くに置いた場合のスクリーン上での位置関係。
      内惑星から外惑星に向かった直線をこれ以上延長しても相互に交わることは無い。
      この図であれば見かけの角度の変化とスクリーン上での位置の変化が比較的対応が良い。



 つまるところ天球すなわちこのスクリーンの位置がおかしい、いやむしろ冒頭に述べたように逆光に関しては天体の「位置」なんて考えること自体が誤解を招き無意味ではないか、と気づくわけです。大切なことは地球(T)から外惑星(P)の見える方向(角度)なのです。それならスクリーンなんて必要ありませんからね。ん~、それにしてもいつまでこの図は使われ続けるのだろうか。。

 この考え方が事実や主流に逆行しているのだろうか。。



2017年5月26日金曜日

ビア樽のなかの生命活動

 惑星観測装置担当の山本です。

 先日、大阪の長居公園で行われたオオサカオクトーバーフェスト2017に行ってきました。5月にオクトーバーとは、という思いもありましたが、好天にも恵まれおいしいビールと料理が頂けて幸せでした。


オオサカオクトーバーフェスト受付の様子

 学生時代に名古屋にある某ビール工場見学ツアーに参加し、そこでよりおいしくビールを頂くための「秘伝の三度注ぎ」のやり方を伝授され、以来その会社のビールをひいきにしていますがしかし、原材料/発酵のさせ方/ホップの組み合わせの違いで、世界には様々な種類のビールがあります。ビールと言えばキンキンに冷えた、と思いがちですが、あまり冷えていない方が風味や香りを楽しめるものも多くあります。今回のイベントでは5つの醸造所のビールしか飲めませんでしたが、これからがビールシーズン(本来は秋でしょうが……)。沢山飲んでいきたいです。

 さて、ビールはエジプトのピラミッド建設時に報酬として振る舞われたという記録が残っているほど歴史が深く、また全世界に多くの愛好家がいらっしゃるので滅多なことは言えませんが、その製法を極簡単に整理すると、麦などを由来としたデンプンを糖化させた麦ジュースにホップを加えた後、ビール酵母に発酵させ、アルコールと炭酸ガスを生成させてビールにする、でしょうか。ビールに限らずお酒というのは糖分を酵母に食べさせてアルコールを作ります。アルコールというのはそもそも炭素と酸素から出来ている鎖のどこかにヒドロキシ基(-OH)をくっつけた物質で、実は生物の体にはありふれています。

 少し話は変わりますが、私が研究している惑星観測装置では、木星のような巨大なガス惑星の観測を目指した装置開発を行っています。しかしこの装置で培った技術などを、現在建設が予定されている超大型の望遠鏡に適応することで、将来的には地球のように表面が水に覆われた岩石惑星の観測を行いたいと思っています。こうした惑星を観測し、「地球外生命の兆候」を発見することが究極の目標の一つです。

 ここで挙げられた「生命の兆候」が何を指すのか、に関しては様々な意見があります。地球型の生命を考えるならば、炭素から構成されている生物がいるのなら「メタン」が排出されるはずだ、とか、植物のような生命が光合成をするのだから「酸素」があるはずだ、とか、植物一つ一つを見ることは出来ないが大陸を覆うような大森林があるのならば「葉緑体の色」を見られるはずだ(2015年11月の山本記事参照[http://sarif-report.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html])、とかです。

 このうち「葉緑体の色」というのは現在観測可能な星が太陽よりも小さく暗いので、地球の植物のような葉緑体を持っていないかも知れず、ハッキリと見られるのかは分かりません。また「メタン」や「酸素」などは生物が関わっていなくても生成される場合があるため、これらの物質が発見されたからと言って即「生命が発見された!」とはなりません。

 そこで、Turbo-King等のグループは、先ほど紹介した酵母菌のような生物の発酵によって生成された炭酸ガスとアルコールが検出出来れば、これが「生命の兆候」として使用できる、と報告しています(arXiv1703.10803[https://arxiv.org/abs/1703.10803])。もともと「海」があるような惑星を観測しようとしているので、水とアルコールと炭酸ガス、つまりビールのような惑星が発見出来るのならば、そんな惑星には生命が溢れている、と。

 実はこの論文は4月1日に投稿された(今年は4月1日が土曜日だったので掲載されたのは4月3日でしたが)エイプリルフール用のジョーク論文です。しかし何を以て「生命の兆候」とするのか、どんな物質が最適であるのか、そもそも「地球生命のような生命」の探査でよいのか、などなど議論は尽きません。土星の衛星には表面を覆った氷の下に液体の水があると考えられ、実際に間欠泉のように水が噴出していることが確認された(正確には水が分解された後のと思われる水素ですが)「エンケラドゥス」や、地球とはまったく異なりメタンが雲や川、海を作っている「タイタン」など、地球外の生命の存在が期待されている天体がいくつかあります。

 さまざまな理論や議論がありますが、何はなくとも観測出来なければ確認が出来ません。装置の開発を目指し、今後も開発を続けていきます。

それでは!



2017年5月12日金曜日

巨大真空容器

光学など担当の岩室です。

 現在、3.8m 望遠鏡で使用する分光器の開発を進めています。
この分光器は天体の赤外線スペクトルを調べるもので、なかなか大変な装置です。今回はこの装置の入れ物の紹介です。

 微弱な天体からの光を調べる天文学の観測装置にとって、関係のない周囲からの光は大敵です。可視光で使う装置は余分な光が装置内に入らないように、入射窓以外の部分は密閉することで周囲の光を遮断していますが、赤外線はそういうわけにはいきません。
なぜなら赤外線は温度のあるもの全てから放射されているからです。
特に分光器の場合は天体からの光を波長ごとに分けて更に微弱にしてしまうため、周辺からの光の影響をより受けやすくなります。
そのため、赤外線の装置は装置内部の壁をできるだけ(この装置の場合マイナス200度まで)冷却する必要があります。

 壁を0度より低い温度まで下げると結露します。そのまま時間が経つと、内部の全ての物が昔のアイスクリームの販売容器のように霜だらけの状態になり、全く使えません。
そのため、赤外線の装置は真空容器に入れて全ての気体を吸い出して真空とし、その状態で冷却する必要があります。3.8m 望遠鏡で使用する赤外線分光器は、できるだけ多くの情報を得るためにかなり大型の装置となっており、それを格納する真空容器も1m を超える大きなものとなります。
大きな真空容器は地球の大気圧との戦いとなります。

 地球の大気圧は1平方センチあたり約1kg で、1平方メートルだと10トンにもなります。これだけの力に耐え、かつ確実に真空を保持できる構造にするには、通常はできる限り球面や円柱を組み合わせた形となるのですが、その場合、内部の光学系の設置や取り扱いがしづらくなります。現在開発中の分光器は、光ファイバーで天体からの光を導くため、装置を観測ドームの1階に置くことができ、重量の制約がありません。そのため、メンテナンス性を重視して産業界で用いられるような箱型の真空容器を使う事にしました。




この箱は 1.7m×1.3m×0.7m のサイズのアルミ製(厚さ 5cm)で、ちょっと幅の広い浴槽位のサイズです(重さ1トン)。光ファイバーや電気系の配線は全て底面から入るので、逆さまの重箱の容器部分を引き上げるような感じで側面兼天板を外すことができ、重いですが内部のメンテナンスが非常にやりやすいのが利点です。




 この箱は、電子ビーム溶接という特殊な溶接方法で製作されています。
   上の写真は容器の一部の側面の拡大写真で、黄色の丸の中央で縦に溶接されているのですが、完全に一体化しているため、どんなに目を凝らして見ても溶接されている事が全くわかりません。最近の溶接技術の高さに感心した瞬間でした。


2017年4月21日金曜日

世の中に絶えて桜のなかりせば

春の心はのどけからまし、というが蓋し名歌である。3月半ばも過ぎると落ち着かなくなってくる。開花時期と満開時期はいつだろうか、どこへ行こうかと。
御所の北の近衛邸跡地付近の枝垂桜はやや早咲きで、まずはこれを見に行く。何本かの枝垂桜があるが、いずれも見事な枝ぶりに色も少しずつ違って、見ごたえがある。数日もすると染井吉野が盛りとなり、北部グラウンド横の花折断層を登って疏水分流を南下する。銀閣寺道までくれば桜のトンネルで、疏水の水路に枝が伸び出した様は風情がある。哲学の径までくると、桜だけでなく、雪柳とレンギョウが白と緑と黄色のコントラストをなして競うように咲いている。雪柳とレンギョウは何故か並んで咲いていることが多いような気がするのは気のせいだろうか。更に哲学の径を南下して大豊神社前までくると、これまた立派な桜の木があって、人気のスポットである。大豊神社に寄り道すると、遅咲きの見事な枝垂梅が見られることもある。若王子で哲学の径を離れ、永観堂前を通って、野村別邸碧雲荘の西側までまわると、そこは紅色の枝垂桜のちょっとした並木道である。しばし呆然として眺めいる。気を取り直して、桜並木を通り南禅寺門前を経て、蹴上インクラインまで歩く。ここも桜のトンネルである。少々歩き難いが、インクラインを上がっていくと、桜だらけの京都市内を一望することができる。歩き疲れたので今日はここまで。この先、蹴上を踏み越えて山科疏水まで行けば山桜の古木が多く、また違った風情が楽しめるが、また明日にでも。
さてそれから暫くすると京都の北の方の桜も咲き始める。土日に時間があれば、京北の常照皇寺へ。有名な御車返しの桜(一重と八重が一枝に咲く)は今はもう老木でほとんど咲かないようだけど、九重桜の巨大な枝垂桜もあるし、御所から株分けしたとかいう左近の桜もある。これでシーズン終わりかなと思うが、まだ御室桜は大丈夫かも、ああ忙しい。と、いうのが理想的なのだが、実際にはそんなに花見ばかりしてられない。やはり、世の中に桜がなければ春の心は落ち着くに違いない。


太田 2017412日 




この写真は家の近くの桜



 

2017年4月7日金曜日

立ち止まって考える

 先週の火曜日(328日)、岡山地裁である裁判の判決が出されました。岡山短期大学に勤める山口雪子さんが、視覚障害を理由に授業担当からはずされたことに対し、短大の運営法人を提訴した裁判の判決でした。岡山地裁は彼女の訴えを認め、大学側の措置無効の判決をくだしました。大学側は控訴するかどうか検討中と新聞にありました。
 じつは私は、前からこの裁判に興味をもっていまして、昨年11月に開かれた口頭弁論も傍聴しました。じつに得難い経験でした。傍聴して考えたことはいろいろありました。たとえば、「障害のある先生から障害の無い学生が学ぶ意義」「ふだん自分が使っていない感覚を研ぎ澄ます」といったテーマです。これらは畢竟「教育とは何か」という普遍的テーマにも結びつきます。「学びの拡げ方」といったほうが適切かもしれません。それは、自分は今まで学びや教育を狭くとらえていたのではないかという反省につながります。
 天文学は、地上の(理系)学問とちがって、対象を直接、手にすることができません。望遠鏡で得られる画像は見ることが中心ですから、視覚障害者の学びは困難とも言えます。ところが一方で、現代天文学はブラックホールやダークマターなど、眼に見えない存在が、じつは宇宙の中で大切な働きをしていることを明らかにしてきました。宇宙の学びに、眼が見える、見えないはさして大事なことではないのかもしれません。では視覚以外の感覚を使って、どう宇宙を学んでいくか。前々から考えているテーマです。

 春がきました。ぽかぽか暖かい日差しの川沿いの道をたどりながら、道ばたの菜の花に触れ、そよ風を感じ、小川の流れにじっと耳を傾けてみました。眼で見ていながら、見逃していることがたくさんあることに気づかされます。ゆったりと豊かな時間が流れていきました。

(嶺重 慎)




5月の上高地に咲く花



2017年4月3日月曜日

老眼

最近、細かい文字がよく見えない。
と言っても本や新聞の文字が読めないという訳ではなく、もっともっと細かい文字の話。

望遠鏡の制御関係を担当してることもあって電子部品をよく使う。
ご存知のように電子機器は小型化の流れが進んでいるので、研究開発の分野でも扱うのも多くがチップ部品と呼ばれる極小の部品たち。
よく使う抵抗などは1.6×0.8mmというサイズで(これでもスマホやデジカメに入っている部品と比べたら十分に大きい)、表面には抵抗値を表す3桁の数字が書いてある。
1文字当たりの大きさは高さ0.6mm、幅0.3mmくらいだと思う。
20歳くらいの頃は難なく読めたけれど、30歳頃から38の区別が怪しくなって、最近では虫眼鏡の力を借りないと自信がない

老眼というのは眼のピント調整を行う筋肉が衰えて、近距離でピントが合わなくなる病気。
一般的には4050歳頃から自覚症状が出ることが多いのですが、実は10歳台の頃からピント調整能力の低下は進み続けているらしい。
4050歳頃になると、人が物を手に持って見る30cm程度の距離でピントが合わなくなり、生活に支障が出て気がつくという流れ。
先に述べた電子部品の例では極端に小さな文字を近距離で見ようとしたため、20歳代でも老眼に進みに気が付いたわけです。

視覚と同様に聴覚も歳とともに衰える。
人の耳は鼓膜を震わせた音が耳小骨を経て蝸牛管という渦巻状の空洞で共振を起こし、それを聴覚神経で感じ取って脳に伝える構造になっている。
高い音は波長が短いので渦巻きの入り口付近で共振し、低い音は奥の方まで伝わって共振するので、どの位置にある聴覚細胞が反応したかで音の高さが分かる。
歳をとると高い音が聞こえなくなるのは入り口付近の細胞からダメになっていくから。
若い頃は20kHzまで聞こえるけれど、40歳台では15kHz程度、60歳台では10kHz程度まで衰えると言われている。
学生に向かって「昔はテレビのブラウン管の音(水平走査周波数の15.75kHz)がはっきりと聞こえたけど今は怪しいなぁ。」と話したら「ブラウン管のテレビ自体を見たことがありません。」と返答されたことに一番歳を感じる今日この頃だったりします。


201743日  木野


大きさ1.6×0.8mmのチップ抵抗。望遠鏡の制御回路にもこのような部品が多数使われている。
103というのは初めの2桁が数値、最後の1桁が乗数なので10×103乗=10kΩの意味。



2017年3月10日金曜日

光子の裁判

リーダの長田です。
宇宙物理学教室には、クラシック音楽愛好家だった方のご遺族から膨大なCDが寄贈されて談話室に素晴らしいコレクションができています。
バッハ以前の音楽からバルトークやショスタコーヴィッチまで、極めて標準的というかまんべんなく趣味の良い曲揃えのCDがたくさん並んでいます。だからこれをすべて聞けば宇宙物理のメンバーは西欧のクラシック音楽を征服したことになる!、というようなものに思えます。

ところが。私もやったらめったらクラシックのCDを安く安く買いあさり、集めていました、今ではwavファイルなんぞになりつつありますが。そしてやはり標準的な曲をそろえているつもりになっていました。なのに、宇宙物理学教室の談話室のCDリストとはちっとも重ならないのです。ことごとく違っています。双方のCDリストともにドイツ古典派が分厚いなど、良く似通っているのに、ほとんど共通のものがないのです。しかも好みが違うわけではありません。私の主観で言って、上記の宇物CDは趣味が良いなあと思うのです。

例えば、上にドイツ古典派とは書きましたが、私がやたらとハイドンの曲を集めたのに、宇物CDにはハイドンがほとんどありません。調べてみて気づいたのですが私が病的とも思えるほどベートーヴェンの交響曲のCDを持っているのに対し、宇物CDにはありません。いや、全くないというわけではなくて、なんとリストがピアノ曲に編曲したものだけは全集としてそろっているのです。

さて、いま、天文観測の解説記事を計測の学会誌に書いていて、そこで私は偏光を担当することになりました。宇宙からやって来る電磁波の情報を研究するのが商売なのだから光についてはしっかりと知っていないといけないはずですが、あらためて光について調べるといろいろと感心することばかりです。

感心することの筆頭には、何と言ってもアインシュタインのノーベル賞受賞理由だった光電効果や光量子仮説、つまり、光は電磁波という波であると同時に光子という粒子でもある、ということをあげたいと思います。これを題材に、東野圭吾の湯川学ならぬ、朝永振一郎が短い名作を書いています。「私は二つの窓の両方を同時に通りました」という波乃光子被告の供述は真なのかという法廷劇「光子の裁判」です。量子力学の代弁者である弁護人が、光子は二つの窓を同時に通ったのだと実証したところで著者は・・・(いくら名作でもネタバレは良くないですね)。

しかし光がすごい点は、私にはもう1つあるように思えるのです。電子がスピンを持っていて、だとか、この2つの量子力学的状態は直交しているのでどうだらこうだら、などど講義で話しながら、私はどうもしっくり来ていませんでした。
人間が日常感覚として量子力学を体得するなんてできないのではないか、いつまでももやもやが残るのではないか、と思っていました。だけど、そのもやもやは、偏光という性質をよく考えることで、かなり日常感覚で納得できるのでは、と思い始めたのです。

光は2つの独立した成分を持ったものが重なっている、というわけです。きっとこれが高等学校でも偏光という概念をしっかり教える理由なんだろうと私には思えます。光は電磁場の波であり、それは横波なので2成分を持っているのだ、というのは高校生にもわかりやすいですよね、縦と横に振動しながらやって来る波。ただ、実はここからがちょっと難しくて、普通に私たちが見る光はそういう2成分の電磁場の振幅を足し合わせたものではないのです。スペクトル線などというほとんど単色の光の場合でも、数「ナノ秒(十億分の一秒)」というぐらいの時間しか振動が続かず(註1)、光を足し合わせてもうまく電磁場の振幅を足し合わせることにならないのです。もしも足し合わせることができるなら、縦に振動している光と横に振動している光を足せば、例えば、斜めに振動している光なんてものができるはずですよね。これを偏光の言葉で言えば、「縦方向の100%偏光と横方向の100%偏光を足せば、斜め方向の100%偏光ができるはずである(註2)」と。でもそうはなりません。普通はゼロの偏光になってしまいます。

こういうふうにバラバラに足し合わさったものを、量子力学では混合状態と呼びます。でも、2つの基底ベクトルから合成された純粋状態というのに対比して、混合状態というのを習っても、私にはあんまりピンと来ませんでした。だけど、2つの直交した偏光はまったく独立したものであり、しかもそれを足すときにうまく位相を合わせて足さないと純粋状態は表せない、というのを、偏光という格好の教材で学ぶのが良いと思うのです。

そして冒頭の宇物のCDコレクションの話題、私のCDとは直交してるんだよなあ、というオチで終わるんですけど、この強引なこじつけ、大ブーイングでしょうかねえ。(とにかく最後までお読みくださりありがとうございます。)



宇宙物理学教室のクラシックCDコレクション


1)単色の光でないと、もっと短くなってしまいます。まんべんなく色が混じっているような光だと、さらにその何百万分の1の時間というように。
2)「いや、そういう合成では必ずしも斜めの直線にならない。円偏光ができても不思議はない、電気信号なんかでも、オシロスコープで縦に振動させたのと横に振動させたのを足して円や楕円を作った」というあなた、正しいです。ただ、この場合、そういうのはやっぱり100%の円偏光や100%の楕円偏光です。




2017年3月1日水曜日

宇宙ユニットシンポジウム

  広報・サイエンス担当の野上です。

  京大で宇宙に関する研究を行っているところは、我々理学研究科宇宙物理学教室と天文台だけではありません。同じ理学研究科の中でも宇宙線研究室や天体核研究室というのがあり、工学研究科ではロケットの軌道計算をやっている研究室があったり、はたまた文系でも宇宙人類学の研究を行っている方がおられたりと、様々な「宇宙研究」がなされています。日本でもっとも多岐にわたる宇宙研究がなされている大学と言って間違いないでしょう。

  そしてそれらの研究者を結びつけ、新しい学問分野・宇宙総合学を構築することを目的に、「宇宙ユニット」という組織が2008年にスタートしました。宇宙ユニットでは毎年宇宙ユニットシンポジウムという一般の方が自由に参加できる催しをやっており、その記念すべき第10回シンポジウムが211()12()に開催されました。

  普通にエラい先生の講演やパネルディスカッションもあり、それはそれで面白いのですが、このシンポジウムはなんと言ってもポスターセッションが面白いです。『「宇宙」に関連した研究や活動を行っている人・団体』というのが参加資格なので、本当に色々なプレゼンがあります。少し例をあげると、「お寺で宇宙学」というタイトルで本物のお坊さんが話してるし、「宇宙から見える彫刻 宇宙から聞こえる即興演奏」というタイトルでジャズを奏でている人がいるし、「狩猟採集民ブッシュマンにおける世界観の変容 ー伝統的神と新しい神の狭間でー」というタイトルでアフリカのブッシュマン問題を語っているひとがいるし、となかなかにカオスな状況になっています。

  ご興味をお持ちの方は、是非来年のシンポジウムでお会いしましょう。


  画像は先日の宇宙ユニットシンポジウムのポスターです。






2017年2月3日金曜日

伊丹発ANA773

プロマネの栗田です。
昨年末に計測自動制御学会のシステムインテグレーション部門の学会(SI2016)に参加するために札幌に行ってきました。
行きの飛行機では「富士山を観る!」ということで右側の座席を取りました。伊丹を離陸し、能登半島手前あたりから撮ったのが下の写真です。

まるで幾重にも連なる波穂のように見えるのが、手前から北アルプスの南端当たり(厳密には御岳山)、中央アルプス、南アルプス、そして雲海に突き出た富士山です(さすが遠くて見えにくいですね)。日本の屋根を一望しつつ、こうしてみても富士山だけは孤峰であることがよくわかりました。またこの雪を頂く立派な山脈の間に清流(姫川ー天竜川、、千曲川ー大井川・富士川)が流れることも一目瞭然でした。






2017年1月16日月曜日

射貫け

   惑星観測装置担当の山本です。

 みなさま、あけましておめでとうございます。
 物理的にはあり得ないと思われているが、インターネット上では稀によく見られる現象として、時空の乱れがあります。今回の原稿の締切は2017年1月11日だったのですが、「今を去ること2017年1月15日の出来事」について書かせて頂きます。

 2017年1月14日未明からしばらくの間、大寒波が日本各地に大雪をもたらし、京都でもかなりの雪が積もりました。この原稿も窓の外で吹き荒ぶ雪を見ながら書いています。年に一二度ちらつくか、と言う様な地域で生まれ育ったので、毎年数度は雪が積もる京都の気候はいまだ新鮮な気持ちになります。

 さて、この時期に新鮮な想いが溢れるコト、と言えば成人式を初めとした新成人の方々が迎える各種の行事があります。いろいろな行事が各地で行われていると思いますが、私が京都に来る以前から気になっていた、京都ならではの行事に、三十三間堂で行われる通し矢があります。正式には大的大会(おおまとたいかい)といい、いわゆる通し矢とは別物のようですが、晴れ着の新成人達が弓を射る姿は、雪景色の様な眩しさがありますね。一昔、どころか二昔近い昔ばなしなってしまいましたが、私も高校時代に弓道をやっており、大学時代も続けていればここで射っていたかも知れません。


三十三間堂の通し矢大会。的の大きさは100cm。決勝、上級者などは的のサイズが小さくなるそう。

 本来の通し矢とは違う、と申しましたが、鎌倉時代頃からはじまり、江戸時代頃に最盛を迎えた通し矢は、上の写真の背景にあるお堂、三十三間堂の軒下を端から端まで、約100メートルを一昼夜かけて何本的に当てられるか、と言う競技だったそうです。13000本中8133本を通したと言うのが最高記録だそうですが、単純に一昼夜を24時間として、1分間に9本、しかも屋根のある軒下ですから、非常に強く弓を引かねばならず、まさに超人的な競技です。現在の大的大会は60メートルの屋根無し、とはいえど甲矢乙矢の2本勝負ですから、かなり心技体が整わなければ的中させることは難しいと思われます。

 60メートル先の1メートルの的、というのは角度にするとちょうど1度くらいです。月の大きさがおおよそ0.5度。1度の範囲に矢を射る、ということも難しいですが、我々が現在開発している惑星撮像装置は、星の周囲の0.2秒角から1秒角の範囲に惑星が存在するかどうかを撮像観測によって明らかにしようとする装置です。秒角というのは1度の60分の1の60分の1です。
 
 そんな非常に小さな目標ですが、正確に射貫いて惑星が検出出来るよう、本年も心技体を整えて臨んでいきたいと思います。
  
それでは!

2017年1月4日水曜日

お役立ち情報 その2

光学など担当の岩室です。

 現在、3.8m 望遠鏡で使用する分光器の開発を進めています。
などに進捗状況など挙げており、今後も追加していきますのでマニアックな方はご覧下さい。

 で、今回はほぼ2年ぶりのお役立ち情報です。今回は何でもないケーブルの巻き方です。皆さん、長いケーブルをグルグル巻いて束ねたい事はちょくちょくありますよね。その際、いつも困るのが
 1. ケーブルがねじれる
 2. 解く際に先端が輪の中を通ると結び目ができてしまう
です。特に、巻き始めた側から解き始めるとちゃんと解けない事が多かったりするのですが、この原因は、どちらから巻き始めたのかよく分からない、という事も原因の1つとなっています。

 そこで、これらの問題をどちらも解決する巻き方の紹介です。
まずは、以下の写真1のようにケーブル両端部を持ち、普通にグルグルと巻いていきます。最後には2つ折りになったケーブルの端が来ますが(写真2)、それを輪の中に1〜2回通してコネクタに掛けます(写真3)。この巻き方の良い所は、2つ折りにすることでグルグル巻いても折り返し点でケーブルのねじれが相殺し、ねじれが溜まりにくい(非常に長いケーブルや、固いケーブルはねじれますが)事と、どちらから巻き始めたかが一目瞭然でわかることです。
これにより、2つ折りになっている側から解けば絡まる事無くすぐに全体を伸ばすことができます。AC アダプタのような大きなものが付いている場合には、小さいコネクタの方だけに2つ折り部分を掛けます(写真4)。柔らかくて長いケーブルほど、この巻き方が有効になりますので、そういうケーブルを見かけたら試してみて下さい。但し、この巻き方の欠点は2つ折り部分がかなりの角度で折れますので、この部分だけケーブルの劣化が早まる事です。曲げに弱いケーブルはこの巻き方は避けて下さい。