2020年9月2日水曜日

コロナなニュース


プロマネの栗田です。
ぼんやりニュースを見ていると、アナウンサーが「東京都では2日、10歳未満から100歳以上の男女合わせて292人の感染・・」とお話ししてました。

ん!?

算数としては10歳未満と100歳以上の間には数字が存在しないので、そこを「から」でつなげられてもよくわからないなぁ。「10歳以上からから100歳未満」なら正しい表現だけど。。

かと云って「から」を無視してみても、東京都に100歳以上ってどれほどいるのだろうか。。(ちょっと古いデータで2018年には6千人ほどいらっしゃるそうです。十分人口統計の議論ができますね。スミマセン)

ともかく、そんな10歳未満と100歳以上だけを取り出して感染者を報告するはずはないので、推測せざるを得ません。

で、勝手な解釈としては、結局のところ「都民全体を指している」と思われます(当たり前か)。おそらく都の集計では年齢別に行われていて、10歳未満、10代、20代・・・90代、100歳以上と区分しているのでしょう。というわけで括弧に勝手な捕捉を加えると、言いたかったことは「10歳未満(のグループ)から100歳以上(グループ)の男女合わせて292人の感染・・」となります。おそらく都の職員の方が記者発表して、それを記者さんがそのまま書いてしまったのではないかと思います。

本来は都の広報などの1次資料を調べてからこの記事を書くべきなのですが、記者発表から原稿までのプロセスを追跡できないので辞めておきます。

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2020年8月7日金曜日

変形楽譜矯正ソフト

 光学など担当の岩室です。


今日は、変形してしまった楽譜の五線を自動検知してまっすぐに矯正するソフトの話です。


最近、CamScanner というソフト(私はいまだにガラケーユーザなんですが、アプリって言うんですかね)が広く出回っていて、学生からのレポート提出でも CamScanner を多く見かけるようになりました(ウィルスが仕込まれていることもあるようなので、ここではリンクしませんが)。このソフトは、レポート用紙のような紙を机の上に置いて撮影し、(自動で?)コーナー検出をした後、台形補正をして pdf に変換、という作業をしてくれるもののようです。この程度の作業はこれまでにもフリーソフトだけで簡単にできたことなのですが、これが誰でも簡単にできるようになたことで、多分、スキャナ業界はかなりのダメージを受けたのではないかと思います。


しかし、このソフトは紙1枚を置いての撮影を前提に作られているため、本の撮影画像はうまく修正できないようです。多分、冊子になっていることでコーナー検出がうまくできないのと、ページの盛り上がりによる扇型変形が補正できないことが原因なのではないかと思います。せめて、ページの上下端の曲線を読み取って扇型変形まで直してくれればいいかと思うのですが、トラブルを減らすために機能をシンプルに絞ったのでしょうね。この点では、本をガラス面に押し当てて平らにするスキャナーの方がちゃんとした画像になります。


さて、ここからが今日の本題なのですが、娘が友達から送ってもらった楽譜データが全て歪んでいて、何とかまっすぐにできないか相談を受けました。分解不可の分厚い冊子を撮影して CamScanner で取り込んだようですが、五線が曲がっています。実は、ファイバー分光器のスペクトル解析でも、光学収差によるスペクトルの曲がりを補正する必要があるので、こういう曲がりを自動検出して矯正する画像解析ソフトを自前で作っていたため、まあ、何とかなるかなと思って毎晩コツコツと内職してみました。しかし実際は結構大変で、何気なく人間が行なっている画像処理能力の複雑さを改めて確認することとなりました。



まず、上図左が元となる画像データです。冊子の撮影に特有の上の方ほど曲がりが大きく、下の方ほど横幅が小さい扇型のような変形が見られます。まずは、この変形情報を抽出する必要があります。しかし、楽譜には五線だけでなく音符やその他の記号が並んでいたり、五線そのものが印刷不鮮明で切れているところがあったり、と一筋縄ではいきません。五線は全て横方向であることを利用して、局所的に横方向の直線形状になっている部分だけを取り出して、川の流れのような図を作ります(上中図の赤+黄色部分)。この時点で、五線以外にはスラー/タイ、クレッシェンド/デクレッシェンド記号などが残ります。次に、1本1本の流れに沿って左右を往復し、無事に元の場所に戻ってこれた経路のみを残します。これで五線だけを残すことができます(上中図の赤)。次にこのブツ切れ情報の間を両側の情報をなめらかにつなぎあわせて補間し、五線の推定位置を割り出します(上中図の水色)。最後に両端部の縦線の内側位置を検出し(上中拡大図の青点、縦線外側の構造はそれぞれの段毎に異なるので両端部の判定は内側で決定します)、上下最寄り数本ずつの端位置と比較して、何らかの理由で左右に突出しているものがあれば正しい端の予想位置に修正して(上中拡大図のピンク点)情報抽出は完了です。あとはこの情報から形を矯正して変形させれば出来上がりです(上右図)。


こういうことをしてくれるソフトは、誰かが作ってくれているものだと思ってかなり色々探したのですが、結局見当たらなくて最終的に自作しました。Stavealign と名前を付けてマニュアルとともに置いていますので、興味ある方は使ってみて下さい。但し、全然使い込んでいないので、うまくいかない場合も多いと思います。その際はアニュアルにある連絡先まで連絡下さい。


 


2020年7月22日水曜日

祇園祭と星


2020年は、コロナ感染を避けるために、祇園祭の宵山や巡行が中止になったのは残念であった。祇園祭はもともと疫病退散・無病息災を願う行事であるから、祭の趣旨からすると中止は本末転倒であろう。しかし、現代人の立場からすると、まあやむを得ないかと思う。ちなみに、祭で配られる粽に、「蘇民将来之子孫也」というお札がついているが、これを家の玄関に飾っておけば、この家の人は蘇民将来の子孫であるという印になり、疫病から免れるという。(詳しい話は省略。)

 

長刀鉾は、祇園祭の先祭で、山鉾巡行の先頭を行く鉾であり、最も有名な鉾と言ってもいいだろう。10年位前に、長刀鉾に(多分?)初めて上った。そして驚いた。なんと、鉾の、人が乗って演奏する場所の天井に、中国の星座である、二十八宿がずらっと並んでいたのである。星座といっても、星を2つか3つ繋ぐだけの星座もある。二十八宿は、天の赤道に設定されているという説明をよく見かけるが、その割には、黄道に近い感じもするし、でも黄道とも限らず、実際のところは私はよく知らない。白道にも近いような気がする。いずれにしても、天井を一周囲むように、ぐるりと並んでいる。一周囲むということで、多分、東側に並ぶ宿の列は青龍に、南側の宿の列は朱雀に、西側の列は白虎、北側は玄武と、四神に対応しているのだろう。長刀鉾にのったところで、宇宙を(夜空を)見上げることになるとは思いもよらなかったので、驚いた次第である。鉾の内部を四神で守護するという意図なのかどうかわからないが、面白いことである。ちなみに京都(というか平安京)は、東に鴨川(青龍)、南に巨椋池(朱雀)、西に山陽道或いは山陰道(白虎)、北に舟岡山(玄武)の四神相応の地という話はよく聞く(諸説ありかもしれないが)。

 

この時撮った写真を載せようと思っていたのだが、行方不明であることがわかった。そこで、その代わりに、長刀鉾の二十八宿については、googleで 長刀鉾、二十八宿 で画像検索するとでてくる。粽に蘇民将来之子孫也のお札も、同じくgoogleで 蘇民将来之子孫也 でググルと写真が出てくるので、これで代用願いたい。私が撮った写真より見やすい感じがする。(それにしても、最近は蘇民将来之子孫也Tシャツまであるんですねぇ。家に貼るより効き目ありそう?)
 
          太田記

花山天文台支援のためのクラウドファインディングが始まります!



こんにちは。サイエンス担当の野上です。

 

2020728日に花山天文台を支援するためのクラウドファンディングが始まります。URLhttps://the-kyoto.en-jine.com/projects/kyotodaigakutenmondai
です。ただし、開始日の728日までは上記URLは無効です。


 

岡山天文台の設立に伴い、附属天文台としては花山天文台の運営費の大部分をそちらに回すという決断を行ないました。そのため花山天文台は苦境に陥るわけですが、その中で、設立90年を超える歴史ある天文台の維持、さらには教育・アウトリーチ活動の拠点としての発展を目指して、様々な方々、自治体、団体の方々と努力を続けてきています。今年の1月には掛け値なしの世界的スーパースター、クイーンのギタリスト、ブライアン・メイ氏が花山天文台を訪問され、心温まる応援メッセージを下さったことが新聞やニュースでも取り上げられました。その時の言葉、「Keep Kwasan Alive!」は私たちの合言葉になっています。これを実現する取り組みの一環として、京都新聞社さんにご協力いただき、クラウドファンディングが始まります!

 

クラウドファンディングのタイトルは「91年の歴史を持つ京都大学花山天文台に、花山宇宙文化センターを作りたい。」です。説明文の最初は、「アマチュア天文学の聖地と呼ばれる京都大学の花山天文台。 91年の歴史を持つこの天文台に、次世代の天文教育の拠点となる花山宇宙文化センターを作りたい。国からの補助金が減る中で、持続可能な形で宇宙文化教育の拠点として次世代に受け継ぐことを目指したプロジェクトです。この国の宇宙文化教育を維持するためご協力ください。」で始まります。ご賛同いただけます方は、是非ご協力ください!

 

最終的な目的は花山宇宙文化センターを作ることにあるわけですが、第1回は期間を10月一杯までの約3か月とし、家族で楽しめる小冊子「うちゅうぼん」の制作、様々な展示の充実、公共交通機関でのアクセス確保のためのバス停の設立などのため、300万円を目標額と設定しています。これが達成できれば、第2回、第3回と行なっていき、支援してくださる皆さんと少しずつ進めていければと思っています。

 

花山天文台の宇宙文化センターは、普通のプラネタリウムや科学館では難しい、京大の研究者の全面的なバックアップに基づいて最先端の天文学に一般の方が気軽に触れられる場所となり、「文化としての宇宙」の発信を行ない、次世代を担う子供たちが宇宙、自然、科学、技術に興味をもつきっかけを提供することを目指します。このクラウドファンディングは直接的には花山天文台の支援ですが、それは岡山天文台と飛騨天文台の支援につながりますし、長期的な観点では日本の天文学、学術、そして文化の発展に資すると考えていただけますと幸いです。

 

最後にもう一度合言葉、Keep Kwasan Alive!


写真は、ブライアン・メイ氏来訪の際の、
花山天文台支援関係者で45㎝屈折望遠鏡を取り囲んだ集合写真です。











2020年7月10日金曜日

せいめい望遠鏡での研究成果を記者発表しました!

こんにちは。サイエンス担当の野上です。


このブログ記事を書いているのが7月7日(火)なのですが、昨日、すなわち7月6日(月)に記者発表を行ないました!我々の研究グループで進めている恒星スーパーフレアに関するものです。そのもとになった論文がオンラインで公表されるのが7月10日(金)午前0時(深夜)なので、早ければオンラインニュースではこの時間に、新聞ではこの日の朝刊に出るのではないかと思います。それまで内容を明かせませんが、うちの大学院生の行方宏介君(D3)が主著の論文です。どうぞお楽しみにしていてください!


あれ?このブログが掲載される頃にはもう報道されているはずですね。まだ見てないよ、という方は、どうぞ新聞やネット記事等を探してみてください。


ということで、研究成果は報道に譲るとして、今回は記者発表がどういう風に行われるか書こうと思います。研究成果を記者発表する場合、当然まずは成果を論文として発表することが必須です。論文が受理され、出版されることが決定すると、「この研究成果は是非皆さんに知ってもらいたい!」という場合、記者発表を大学の広報室に申し込みます。


この際に成果説明の書類を付けて申し込むのですが、この書類の書き方がポイントになります。とにかくわかりやすく簡潔に書くことが求められます。大学の広報室は、この成果書類と記者発表の日時等を記した書類を合わせて報道各社に送ります。それを見た各社の記者さんなどが、自分のところで報道する価値があると判断すれば、記者発表に参加します。いかに優れた研究成果でも、その価値が記者に伝わらなければ会場にも来てもらえないわけです。科学面担当の記者でも天文のことは全然知らない方も当然多いです。ですので、成果書類はわかりやすく簡潔に。専門用語はなるべく避けて、使わざるをえない場合や専門用語とまで言えなくても一般の人に伝わらないような単語には、用語説明も付けます。そしてもう一つ大事なのは、キャッチーな絵を付けること。人目を引ける絵が作れれば、掲載率がぐんと高まります。


この絵は、きちんとスペースが確保されていれば、そのまま紙面に載る場合が多いです。データそのもののグラフが出る場合もありますが、それではなんのこっちゃわからない場合がほとんどですので、ポンチ絵や想像図などを用意することになります。研究者がそういう絵を書くのが得意ということはほとんどありませんので、得意な大学院生を探したり、プロのイラストレーターにお金を払って依頼したりすることになります。京大でもイラストレーターと契約しているのですが、お金がない我々は、今回国立天文台の方に作図を依頼しました。さすが国立天文台!広報の方でイラストが得意な方が描いてくれるのです!今回の成果は国立天文台が担っているせいめい望遠鏡の共同利用で得られた成果で共同研究者に国立天文台方も入っていますので、京大と国立天文台との共同記者発表ということになり、こういう取り計らいをしてもらえました。この絵を下に付けておきます。恒星フレアの噴出物が惑星に影響を与えそうな感じが出ていますでしょうか?


さて、記者発表当日には、京大の記者室で報道陣を前にプレゼンをすることになります。ですが、今はともかく3密を避けなければいけません。記者発表もzoomで行ないました。対面で行なうと近くの新聞社やテレビ局しかきてくれませんが、今回はせいめい望遠鏡のある岡山方面や東京方面の会社もあったようです。今回は3人の分担で、私が司会を務め、共同研究者の前原さん@国立天文台から背景説明やせいめい望遠鏡などの紹介、そして行方君から本題の説明をしました。学会等のプレゼンよりもずっと丁寧にスライドを作り、しっかり発表練習をしました。普通この手の記者発表は、研究者の発表20~30分+質疑応答30分とかなのですが、40分を超える熱演となり、その後の質疑応答も1時間くらい続きました。行方君は記者発表は初めてなのですが、非常に落ち着いて当意即妙に質問に答えており、司会の私が感心してしまいました。


質問が出終わったところで発表終了となりました。対面での記者発表ではここから記者と研究者の個人的な質疑応答があるのですが、zoomではそれができません。発表スライドは事前にネットを介して記者に送っていたのですが、そのスライドにこちら側3人のメールアドレスと携帯番号を書いておきました。行方君には発表後に数社から電話で問い合わせがあったそうです。


さて、記者発表がどういうものなのかを書いてきましたが、いかがでしたでしょうか。この発表がきちんと記事にされるかどうかは記者や報道各社の判断になります。大きな事件などがあれば、そちらが優先されて後日掲載とか、最悪お蔵入りということもあり得ます。私の感覚では今回はある程度たくさん報道してもらえると思っているのですが、皆さんの目に留まっているでしょうか?


今回は記者発表をしたので研究内容は書きませんでしたが、せいめい望遠鏡の成果はこのブログでも取り上げていきたいと思います。どうぞご期待ください!


ところで、この7月6日は私の誕生日で、行方君からのとてもよいプレゼントになりました。50歳(四捨五入すれば100歳!)になりましたが、いまだ天命を知るには程遠く。精進を続けたいと思います。







2020年5月22日金曜日

コロナIII

 光学など担当の岩室です。


 もう、最近はこの話題しかありません。前回情宣した京都混声の演奏会は当然中止となり合唱団の活動も事実上の休止状態ですが、東京から帰省していた娘がコロナの影響で帰れず、2か月近く京都にいる状況が続いています。今回は娘の大学で最近始まったオンライン授業でわかったことと、私が大学で始めたオンライン授業で分かったこと、受け手と送り手両方の側から見て気づいたことなど書きたいと思います。


1. 我が家のネット契約はひどいものだった
 我が家は20年近く前に結構離れた南側に建ったマンションのせいで、地デジ化のはるか前からケーブルテレビ(みやびじょん)です。その際に、一緒にケーブル回線を通してのネット契約もしたのですが、よく考えたらその後一度もその契約を見直していませんでした。まあ、私自身あまり動画を見ることもないし、はるか昔からテレワークに相当するネットの使い方をしていましたが、基本的には文字情報のやり取りだけなので、ほとんど通信速度は気になりませんでした。しかし、娘が自宅からオンライン講義を受講すると頻繁に止まってしまいます。この原因は安物の Wifi 性能にあるのではないかと思い、回線速度を計測する Web サイトで Wifi ありと直結とで測定したところ、なんとどちらも 22Mbps というびっくり数値でした。Gbps の時代でこれは遅すぎます。しかし、よくよく考えたらうちのネット契約は10数年前のスペックだという事に気が付き、契約内容を見直してみたら月額5千円以上払って 24Mbps という、業者にとってはウハウハの内容だったのです!(契約当初は、プライベートな Web ページを開設できるサービス付きで、個人ページも利用していたのですが、いつしかそのサービスも無くなってそのまま...) 早速、現在の基準での契約に改めたところ、ケーブルテレビのチャンネル増加+320Mbps でほぼ同額でした。
 ここでわかったこと:ネット契約は5年おきに見直すべし


2. 高性能マイクが品薄
 娘は声楽レッスンをリモートで受けることになるため、パソコンのマイクではまずいと思い、アマゾンでできるだけコスパの良さそうなマイクを探してみました。私が学生時代から時々使っていたマランツという会社のコンデンサーマイクを価格と信頼度で決めたのですが、到着まで3週間かかり、購入時は 6,400円だった価格が、今見ると 15,000円になっています。皆、自宅生活でのにわかユーチューバーが増えて、高性能マイクの需要が世界的に一気に高まったものと思われます。皆、スピーカにはこだわりがあっても、マイクの必要性をあまり感じない生活でしたからね...
 ここでわかったこと:品薄になりかかっていると思ったら即決すべし


3. 会議ソフトは CPU の負担が大きい
 大学生の使う PC なんてのは、Youtube が見れて Office ソフトが使えれば十分、ということで入門用の最安ノートしか与えていなかったのですが、使用するソフトによってはリモート講義を受けるには厳しいということがわかりました。京大ではリモート講義で zoom を使っていますが、娘の大学では4月末から一般に解禁となった Google Meet を使っています。ところが、このソフトはブラウザの内部で起動するため、ブラウザと合わせてかなりの CPU パワーを必要とするもので、Celeron の安物 CPU では常時 CPU が 100% 越えとなり、使用に耐えません。さらに、Firefox との相性は最悪で、画面共有を Firefox が許可しないため、接続先が共有しようとするとフリーズしたような状態になります(それが判明してからは Chrome から起動するようにしましたが...)。ぞれに対し、zoom は安物 CPU でもギリギリ大丈夫なようです。セキュリティには難ありですが安定して講義内容を伝えるには zoom の方が優秀だと感じました。Google Meet を安定して使うためには Core i5 以上が必要なようですので、なかなかこれをリモート講義の標準として使うには PC の性能としての敷居が高いですよね...
 ここでわかったこと:Google Meet は重い!


4. Windows のシステム更新に注意
  5月中旬にかなりの大きな更新が Windows10 に入りましたが、正にその時が私の1コマ目の講義の開始15分前でした。ただでさえ非力なノート PC での講義なので、バックグラウンドでのシステム更新はつらいと思い、更新を7日間一時停止というモードに切り替えたところ、いきなり途中まで進めていた更新を戻す作業が始まり、何もできない状態になってしまいました。急遽、自分の個人用ノート PC を持ってきてカメラとマイクを接続して始めたのですが、超ドタバタでした。zoom を使っていたとしても、非力な PC ではリモート講義のタイミングと Windows のシステム更新のタイミングがぶつからないように気を付けないといけないので、ここでも高性能な PC の必要性を感じました。いつも使っている講義用のノート PC が使える状態になっ たのはモード切替後40分近く経ってからだったので、バックアップの PC が無かったら致命的です。同じ状況で講義や会議ができなかった人は世の中に沢山いるのではないでしょうか。
 ここでわかったこと:更新プログラムインストール中に7日間一時停止すると最悪


5. リモートでの評価は大変
 どこの大学でも今年度の前期試験は取りやめになっているかと思いますが、この状態で正しく評価を行うには、とにかく、自筆で多く書かせて提出させるしかありません。何だか昔の小学校の漢字の宿題のようです。でないと、すぐに模範解答ファイルが出回ってそれぞれがちょっとだけ修正したものを提出するでしょう。なので、私の講義は全て自筆で書いたものを写真またはスキャンして提出にしています。また、毎回図を描くものを含めた A4 1枚程度の課題を出すようにしているので、たとえ模範解答が出回っても、自筆で書き写すだけでそれなりに勉強になるはずです。但し、このやり方は見る方が大変です。100名を超える学生から毎週 A4 サイズにびっしり書かれた課題が提出されるので、頻繁にチェックして提出されたものを片っ端から採点して返却しないと、すぐに溜まってしまいます。しかも、紙ではないので、いちいちファイルを開けないといけません。テレワーク中はかなりの時間をこれに割けるのでまだいいですが、解除になって実験とか始めると結構厳しいかもしれません... それにしても、筆記のできない入試などありうるのでしょうか?
 ここでわかったこと:正当な評価はやはり筆記試験がベスト


 それにしても、夏の甲子園も中止となってめちゃめちゃ気の毒です。全国を8ブロックに分けてそれぞれの地方でベスト8まで進め、準々決勝からのみ甲子園で行えばいいかと思うのですがどうなんでしょうかね。他にもコロナ対応に関しては言いたいことが色々あるのですが、大学教員なんてのはこの状況で最も恵まれている職業だと思いますので、文句は言えない立場です。この先、所得税を大幅 UP して大学教員を含め収入があまり減らなかった人たちからぶん取ってもらいたいと思います。



2020年4月13日月曜日

コロナ II(オンライン講義@京大)


サイエンス担当の野上です。

前回の栗田さんの記事に続き、今はやっぱりこれを取り上げざるを得ない、ということでコロナウイルスです。本当なら、「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます!」から入りたかったのですが、おめでたい感じには全くならない新年度開始です。新型コロナウイルスに感染しないこと、あるいは自覚症状がなくても感染している+ウイルスをばらまく可能性というのを考えると、不要不急の外出はしない、そしてなるべく他人と会わない、ということが一番の基本になります。

じゃあ、大学としてはどうするか?となると、講義と会議はできる限りオンラインで、ということになります。これなかなか大変ですね。

たぶん多くの大学でもそうだと思いますが、今現在(この原稿を書いているのは2020413()午前)で、京大でもどうやって実施するのかてんやわんやです。

オンライン会議は結構行われているので問題なさそうに思われるかもしれませんが、なにせ京大だけで1学年3000人くらいいて、講義が始まる時間あたりに接続が殺到するわけです。オンライン会議システムそのものや京大のネットワークが大丈夫なのか?というのは、検討は十分にしてみても、実際にやってみないとわからないところもあります。もとからパワーポイントなどのプレゼンアプリを使って講義をしている場合は、それを参加者全員のPCの画面に表示させるようにして講義ができるかもしれません(それでも多分、学生の反応が直接見えないので一方的な説明になりがち)が、黒板に板書しながらの説明の場合はどうするのか?予備校のネット講義のように専門のカメラマンが付くわけではないので、カメラは固定です。黒板のどの範囲は映るか、参加者のPC上で読める大きさや線の太さの字になっているか、声がちゃんと聞こえてるのかとか、これまでとは違うところに気を使わないといけません。学生からの質問は受けられるのか、レポートの提出はどうするのか(京大はこれまでレポートは紙で出させるのが普通で、ネット上で集めるシステムをほとんどの教員が使ったことがなかった、という「遅れた」大学であることが判明!)、試験はどうするか、そもそも実習・実験はどうする?等々、検討事項や懸念事項はたくさんあります。

それでもともかく、講義ができるよう努力中です。もちろん実行しながら改善を図ることになります。そして、京大全体としての対応も様々な状況で今日にも変わるかもしれず、用意してきたオンライン講義のやり方をゴロっと変えないといけない状況も考えられます。もし京大生がこれを読まれていたら、講義が始まらんけどセンセもただサボってるわけじゃなく頑張ったはるんやな、と思ってもらえれば幸いです。

では皆さん、手洗いうがいをしっかりして元気に過ごしていきましょう!

今回は動画でピコ太郎のPPAP-2020を。